巨匠の死2014年11月08日 21時36分18秒



自動車評論界で「巨匠」と呼ばれた、徳大寺有恒氏が亡くなられた。74歳だそうだが、残念でならない。
僕は二十数年前のバブル期に「間違いだらけ」を読んですっかりファンになり、学生時代には古本屋を回って76年の初巻から買い集めたほどにこのシリーズに熱中した。
徳大寺氏の書かれる文章は見事なもので、恐らく僕も一部影響を受けていると思う。何よりも、最初期以来主張が一貫していて、その主張に基づいて各メーカーの車を批評されるから、その主張に賛同するにせよしないにせよ、その車がどういうものなのかが非常にわかりやすい。優れた批評とはそういうものであろう。三十年に及ぶこのシリーズは、そのまま日本自動車史たり得るだろう。

鉄道における宮脇俊三氏などもそうだが、広範な知識・教養を持った人が特定のジャンルについて深く書いたものは、自ずからジャンルを超えた文明批評の色を帯びてくるのだと思う。こういう方は、そうは出てこないだろう。ご冥福をお祈りしたい。

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