うらなり2009年11月12日 21時09分28秒

小林信彦氏の「うらなり」が文庫になってたので、早速読んでみた。
夏目漱石の「坊つちやん」の登場人物である、あのうらなりの視点から書かれた、いかにも小林氏らしいひねった小説で、こんなのは当然時代考証など含めて相当な知識が無ければ書けない。
正義の主人公であったはずの坊っちゃんが、常識人のうらなりから見ると、脈絡のない行動を繰り返す、ほとんど性格破綻者のように書かれていて面白い。

漱石の小説はそんなに読んだわけではないけれど、「坊つちやん」とセットのように語られることの多い(実際同時に書かれたとのこと)、「吾輩は猫である」の面白さは異常なほどである。何度読んだか分からない。小説として目指すべき、一つの理想であると思っている。

一人旅2009年11月16日 20時16分43秒

「まちなみ街道」などというサイトをやっている癖に、実は一人旅が苦手である。昼間うろうろしている間は平気なのだが、見知らぬ町での夕食と宿泊を一人でと言うのがどうも苦手で、そのために一人旅の回数がどうしても少なくなるのだ。

例えば、行ったことのある全国の重伝建地区72箇所のうち、日帰りで行ったものを除いて、一人で行ったのは12箇所だけである。それもまとめて数箇所ずつ巡っているので、旅行の回数にすれば三~四回程度だろうか。まあ良くこれで、あちこち取材できたものだとは思う。