回想2005年12月23日 07時56分34秒

届け続けてきたのは精一杯のものだったから、何も返してもらえなければ、いずれ空っぽになって力尽きることは初めから彼には分かっていた。
ただの人に戻ってしまえば、離れて行ってしまうとしても、引き止める力ももう残っていなかった。できるのは、祈ることだけだ。願わくば、その行く先に苦難のないことを。不幸な選択枝が、二度とその目に入らないようにと。
あとほんの少しでも、暖かい気持ちを返してくれれば、全く違ったはずだ。心変わりしたわけではない。冷たい壁を前に、ただ力尽きただけなのだ。

交わしたはずのない約束に縛られ/破り棄てようとすれば後ろめたくなるのは何故だ/手巻きの腕時計で永遠は計れない/虚しさを感じても手放せない理由がこの胸にある (Drifter,「Fine」M-10,キリンジ)