自業自得の、長い午後を2005年12月09日 20時51分45秒

(ここまでのあらすじ)
 あれが始まりだったのだとすれば、もう二年になる。あれ以来、彼はその人だけを見つめて、生きてきたのだった。その笑顔を見ると、時間が止まる。その瞬間が永遠に続くこと、それだけを願いながら生きることになる。しかし彼に翼はない。その境界を越える、ある種のパスポートはついに手に入らない。
 もはや彼にできることは、長い陸橋を越え、そのそばを離れ、人生の長い午後を独りで歩いていく、ただそれだけであるはずだった。しかし、すでに彼の時間は止まってしまっていた。彼はいつまでも陸橋の上に立ち尽くし、相手の気付かない距離から、その笑顔だけを追い続けた。