冬来たりなば2016年01月24日 20時08分02秒



図書館で「ハイパーインフレの人類学」というのを読んだ。2008年頃のジンバブエに滞在した日本人が書いた現地レポートのような本なのだが、これが面白くて思わず夢中で読んでしまった。
ハイパーインフレ下ではサラリーマンや公務員が激しく困窮して、日々の商売で暮らしている人たちは比較的裕福になるということや、外貨を使うに当たって釣り銭が大きな問題になるだろうという辺り(小銭が不足する)は大体予想通り。預金封鎖下でのデビットカードの有用性(ジンバブエでは、決済システムはどうにか死ななかったようだ)も思っていた通りだった。
しかし、数時間単位で物価が上昇するような中でも、ほとんどの人は案外普通に生活ができていたようだ。日々の生活が実際どうなるのか想像もつかないと思っていたのだが、この本の中では人々がインフレを乗り切って生活していく状況がリアルに描かれていて、人間ていうのは強かなもんだなと思わされた。

預金と現金の価値が大きく乖離したり、それ故に外貨とのレートが何種類も存在したり、場面によって大きく変わる(その差を裁定して、利益を得ることが可能)というのも想像を絶していた。あんな複雑な計算をしながら生活するのは大変そうだが、実際に対応するとしたらスマホでアプリを組むとかがいいかもしれない。ジンバブエ中銀の総裁は、「非常に大きな数字にも対応できるようになるための、簡単で毎日できるトレーニング法を国民に与えた」としてイグ・ノーベル賞をもらったそうである。

ジンバブエでは特に内戦などがあったわけではなく、経済政策の失策(というか政策とも呼べない暴挙)からインフレが発生している。とにかく通貨を大量発行して、めちゃくちゃな財政ファイナンスをやりまくったようだ。
日本がここまでひどいことになるとはさすがに考えにくいが、万一それでも何かが起きるとしたら、色々教訓は得られそうな内容だった。例えば外貨預金10種類による決済が可能なデビットカード(今年からサービス開始のSONY BANK WALLET)というのが手許にあるが、VISAの決済システムさえ死ななければ、こういうものも有効に使えそうである。

それにしても、暖冬だと思ったらちゃんとツケは回ってきたね。明日の朝はもっと冷え込むのか。

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