廃市2010年07月03日 20時22分37秒


福永武彦の「廃市」を、十数年ぶりに読み返してみた。無数の掘割が巡らされた町に、卒業論文を書くために滞在しに来た大学生の視点を通じて、古びた町の趣とその町に暮らす人々の心の動きが描かれる短編だが、その描写があまりに美しく、心を打たれる小説である。

町のモデルは柳川辺りではないかと思われるのだが、できればつげ義春の絵でその町の風景を見てみたい、そんなことを思ったりする。
(写真は近江八幡です)