「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」2005年11月17日 22時02分04秒

 村上春樹氏の影響でスコット・フィッツジェラルドが好きになったという人は多いと思う。安易と言われようが、僕もそうだ。

「リッチ・ボーイ(金持ち階級の青年)」という短編が好きで、何度も読み返している。事業に成功し、仲間にも恵まれた主人公は、しかし若い日に出会ったたった一人の女性しか結局愛することができず、決して幸せになることはない。

 佐伯泰樹訳と、もちろん村上訳も読んだのだが、素晴らしい小説である。僕自身の歳が主人公を追い越してから、ますます重みを増している気もする。

 もちろん、「偉大なるギャツビー」を初めとして、他にも好きな小説がたくさんある。その多くは、悲劇的な結末で終わるのだが、その儚さは日本人にも理解しやすいものではないかと思う。恐らく近いうちに、村上訳の「グレート・ギャツビー」が読める日も来るだろう。楽しみだ。

(写真は神戸メリケン・パーク、GRDで)